枕草子・第4段は言葉について書かれています。とても短い段です。
第4段 同じことなれども
同じことなれども 聞き耳ことなるもの
同じ内容には違いないものの、聞いた感じが異なるもの
法師のことば 男のことば 女のことば
法師の言葉、男の言葉、女の言葉
下衆(げす)のことばには
身分の低い者の言葉には
必ず文字余りたり
必ず余計な文字が加わり、余っている
<三巻本枕草子・第4段 了>
【おまけ】
清少納言は物書きらしく、言葉には敏感です。ここでは僧侶、男女で言葉使いが違うこと、そして身分の低い者は余計な言葉を使うと書いています。
第6段「大進生昌が家に」では、生昌(なりまさ)が用いるおかしな物言いを取り上げています。また第294段の「僧都の御乳母のままなど」では、火事で焼け出された身分の低い男の話ぶりを細かく載せています。
【おまけのおまけ】
古典作品を読んでいると、これは一体誰の言動なのかわからなくなることがあります。その原因の一つは、当時は使われる敬語によって相手が誰なのかがわかるため、作者がわざわざ誰の言動かを記す必要がなかったためでしょう。
たとえば、「〇〇せたまふ」「〇〇させたまふ」と書かれた敬語は、最も身分の高い方の振舞いにだけ用いられるので、行動の主は天皇か、それに順じるような方になります。