よもやま茶飯事

心に浮かんだことを書き綴ります

徒然草 第3段 万にいみじくとも

徒然草の第3段は「万(よろず)にいみじくとも」。すべてに優れていても、色恋に縁遠い男は物足りないと兼好法師は説きます。

 

第3段 万にいみじくとも

万(よろず)に いみじくとも
すべてに優れていても

 

色好まざらん男は いと さうざうしく
ひたむきな恋心のない男は、とても物足りなく

 

玉の盃の当(そこ)なき(※) 心地ぞすべき
玉の盃の底がないような、心持ちがするであろう

※中国・南北朝時代に編纂された詩文集「文選」からの引用。見た目はよいが、使い物にならない、すぐれた物に一つ欠点があり、物足りないという例え

 

露霜(つゆしも)に しほたれて
露や霜に、ぐっしょりと濡れ

 

所定めず まどい歩き 
所も定めず、さまよい歩き

 

親のいさめ 世のそしりを つつむに
親の忠告や世間の非難を、はばかるに

 

心の暇(いとま)なく
心の休まる暇もなく

 

あふさきるさに 思い乱れ
ああでもないこうでもないと、思い乱れ

 

さるは独り寝がちに
結局、独りで寝ることが多く

 

まどろむ夜(よ)なきこそ おかしけれ
まどろむ夜もないようなのが、趣がある

 

さりとて ひたすら たはれる方にはあらで
さりとて、もっぱら、恋に溺れる者ではなく

 

女に たやすからず 思われんこそ
女に、容易ならざる男と思われること

 

あらまほしかるべきわざなれ
好ましい身の持ち方というべきである

 

徒然草・第3段 了>